コロナ禍は在宅勤務を日常的なものにした。
この大転換は世界中で一気に浸透した。
そしてコロナ禍が沈静化した後も在宅勤務は継続している。
とはいえ在宅勤務のやり方には多様性が生まれている。
週に何日を在宅勤務日とするか、在宅勤務日は出勤が強制されるか否か、
という点についての多様性が生まれている。
一般的な傾向としては、
・在宅勤務日を週に2日とか3日とかを決める
・在宅勤務日は従業員が自ら決める
・在宅勤務日に出勤するかしないかも従業員が決める
となっているようだ。
ところで、
スタンフォード大学ニコラス・ブルーム教授は在宅勤務日はマネジャーが指定すべきだと主張している。
(https://dhbr.diamond.jp/articles/-/7808)
「在宅勤務をする日は従業員が選ぶのではなく、むしろ選ばないほうがよいと助言している」。
在役勤務日を従業員の自由に任すと二つの懸念事項が生まれるという。
「第1の懸念事項は、在宅勤務とオフィス勤務が混在するハイブリッドチームを管理する難しさである。
オフィスにいるイン・グループと在宅のアウト・グループの2グループに分かれることへの不安は尽きることがない」。
オフィスに出る人が固定化し、その人たちの間での情報共有が進み、
他のメンバーとの隔絶が大きくなるという懸念だ。
「第2の懸念事項として、ダイバーシティに対するリスクがある。
パンデミック後に在宅勤務したいと考えているのはランダムではなく、
特定グループの従業員であることが明らかになっている。
たとえば、筆者らの共同研究では、小さな子どもを持つ大卒者のうち、
フルタイムで在宅勤務をしたいと考えている女性は男性よりも50%近く多い。
同僚がオフィスで勤務している時に在宅勤務をするのは、
キャリアに深刻なダメージをもたらしかねないというエビデンスがあることを考えれば、
これは憂慮すべき事態である」。
つまりマネジャーは往々にして、
在宅勤務を取る日数が多い従業員の評価に不利な判断をしがち、
という現実がある。
これは在宅勤務をより多く取ることを希望する女性にとっては、
在宅勤務の取得が自由な環境はキャリア形成に不利に作用するということだ。
この二つの懸念を取り除くには、以下のルールが必要になる。
・在宅勤務日はマネジャーが指定する
・在宅勤務日には必ずオフィスに出勤する
このやり方によって在宅勤務の採用によってオフィスが縮小し、
全員の出勤に耐えられなくなった場合の出勤人数の調整が
可能にもなるという副次効果も期待できる。