6年ぶりの人手不足
13年12月の完全失業率は3.7%で、2009年の5.5%に比べて1.8ポイント低下し、6年ぶりの低水準になった。
12月の有効求人倍率も1.03倍で、これも6年ぶりに求人数が求職数を上回った。
業種別にみると建設、運輸、保育、介護などの現場で人手不足が深刻化しているという。(2014.215日付日経新聞朝刊)
少子高齢化が人手不足の要因か?
業種別にみれば土木、建設業での人手不足は、東北の復刻需要と消費税増税前の駆け込み需要による住宅建設ラッシュ、そして景気対策費による公共事業の急増に起因している。
運輸業での人手不足は土木・建設業の需要の急増によるところが大きい。さらにはネットによる通販マーケットの拡大がBtoCの配送需要を拡大していることも見逃せない。
介護や育児の人手不足は報酬に規制があるので、報酬が仕事の厳しさに引き合わないということで敬遠され、需要の拡大に応じた増員が困難な事情がある。
こう見てくると人手不足は経済活動の拡大によって全業態で生じているものではなく、業種による特殊事情に起因するものだ。ましてや生産年齢人口の減少が直ちに人手不足に繋がっているとは思えない。
サービス業での生産性革新が起きる
2月4日放送の「ガイヤの夜明け」(テレビ東京)で興味深い事例が報告されていた。長崎ちゃんぽんなどの外食業の「リンガーハット」で、現場の調理イノベーションが実現された事例だ。
長崎ちゃんぽんの調理の設備改革でこれまで二人持ちの設備を一人持ちに替え、しかも一杯あたりの調理時間を4分から3分に短縮したのだ。生産性は4倍になった。
少子高齢化による生産年齢人口の減少の影響を真っ先に受けるのがサービス業だ。影響が深刻になればなるほどサービス業でのイノベーションが促されることになりそうだ。
人手不足は経済成長を促す
これまで製造業で培われた現場での生産性革新の技法は今後はサービス業で大きな成果を上げることになる。サービス業はこうした生産性革新だけでなく、人材のスキルやモチベーションに磨きをかけてより付加価値の高いサービスを提供する余地も限りなく大きい。
このような二つの方向でサービス業は、人手不足のネックをなくしていくことになる。したがって人手不足は経済拡大のボトルネックにはなりえない。
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