グローバル化を旗印に突っ走ってきたユニクロが戦略の大転換を図っている。
成長力の牽引力としての国内事業への回帰と成長至上主義ではない高質経営への転換をを鮮明に打ち出したことがそのキラーパスだ。
国内事業での収益力が拡充しない限りグローバル展開の資金源泉が枯渇することになり、グローバル化も画餅に終わる。しかし収益力の拡充をしようにもこれまでのような新規店舗の出店による戦略は壁にぶつかっている。
となると既存店の収益力を圧倒的に拡充することが最大の成功要因と考えざるを得ない。
既存店の収益力の拡充のためにはこれまでの店舗オペレーションを見直し、個店がそれぞれにお客様に圧倒的なホスピタリティ溢れるサービス提供を実現できるような、高質店舗への転換を実現しなければならない。
そして高質店舗への転換の鍵を握るのは店員の高質化だ。残念ながらこれまでのユニクロの店員は高質店員とはかけ離れた存在だった。新卒の3年以内の離職率が30%に達するという事実がこのことを物語る。
高質店員による高質店舗への転換をゴールに打ち出した打ち手は二つ。
一つ目は16,000名に及ぶパート、アルバイトの正社員への登用だ。店舗へのロイヤルティを確実なものにして、お客様へのロイヤリティを確かなものにすることが狙いだ。
二つ目はマネジメントスタイルの変革だ。店長を司令塔とする上位下達の「体育会的」マネジメントスタイルから脱皮して、個客との接点である個々の店員を中心とした、参加型チームマネジメントへの転換だ。
柳井社長曰く、「店長を中心に会社を作ってきたが、間違いだった。店長を主役にすると上意下達の組織になり、自律性や自分で問題を解決する能力が損なわれる。働き方を変えないといけないことに気がついた。販売員が主役になって、チームワークで仕事をする職場にしていきたい」(2014.4.12付日経新聞朝刊)
マネジメントスタイルの転換のきっかけはなんだったのだろう。柳井社長はこう言う。
「少子高齢化で、優秀な人材が我々のような小売業でパートやアルバイトとして働く時代は終わったと思う。いずれは販売員でも300万~400万円の年収を提供し、長期間仕事ができるようにする。異動はできるだけさせない。極論だが、一つの店舗に就職して、一生その店舗で過ごしてもらってもいい。正社員として登用されれば、賞与や有給休暇、介護休暇なども全て認めるようにする。年収は2割程度増える」(同)
もちろん人件費は30%ほど増加するだろう。しかしそれを補って余りある確実な個店ごとの需要拡大と生産性の向上が期待できるはずだ。これについて柳井社長は次のように発言している。
「全員に米アップルのタブレット(多機能携帯端末)『iPad(アイパッド)』を配布し、情報共有を進める。店長からの指示ではなく自発的に仕事ができるので、効率はアップし負担は増えない」(同)
タブレット導入はマネジメント・イノベーションを進める上での触媒にはなるかもしれない。しかしもっと大事なことは企業文化大革命だ。
個客を第一義としたマインド・イノベーション。そこから生まれるプロダクト・イノベーション。そして新しい価値を個客に提供するためのプロセス・イノベーション。これらのイノベーションの連鎖を継続的にしかも強力に推進することが求められている。
これらのイノベーションの実現スピードはまさに柳井社長のリーダーシップにかかっている。
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しげみち (木曜日, 20 11月 2014 14:03)
情報処理概論という授業で課題が出たのですがわかりません