「外食チェーン最大手のゼンショーホールディングス(HD)は6月をメドに、約2000店を運営する牛丼店「すき家」を全国7つに分社化する。人手不足で一部の店舗が一時的に営業できない事態に陥っており、店舗のある地域の実情に合わせた採用や人材管理を徹底する必要があると判断した。
新体制ではすき家を、北海道・東北、関東、首都圏、中部・東海、関西、中・四国、九州の7地域に分けて新会社を置く。それぞれが約300の店舗を運営し、約5000~6000人のパート・アルバイトと、約70人の正社員を管理する。
地域会社には社員やパート・アルバイトの採用や販売促進、店舗の統廃合などの権限を大幅に委譲。賃金体系は地域の実情に応じた仕組みを柔軟に採用できるようにする。求職者やすでに雇用しているアルバイト従業員が働きやすい環境づくりが狙いだ。背景にあるのは深刻な人手不足だ。」。(2014.4.17日経新聞朝刊)
人手不足への対応のためにマネジメントの権限を地域に降ろす決定をしたということだ。パート・アルバイトの採用権限だけにとどまらず、販促や店舗の統廃合に至る権限を委譲したという。
地域の実情に合わせた分権型マネジメントは人事面にとどまることなく、やがて地域のお客様の満足につながる価値提供ならびにそのためのオペレーションシステムのカイゼン、改革につながって初めて大きな成果につながるはずだ。
しかし人事マネジメントの分権化だけで果たして現状の困難を乗り越えることは可能だろうか。先進企業はもっと踏み込んだ革新を始めている。
ファーストリテイリングやイケヤの取り組みがそれを物語っている。特にイケヤは同一労働同一労働条件の実現とあわせて働き方の多様化という大胆な革新に取り組んでいる。
これらの先進事例は従業員価値を圧倒的に高質化したところが顧客価値を高質化しひいては財務業績の向上に結び付くことを示している。
昨今の人手不足の深刻化は企業ごとに多様な対応を生み出している(下表参照)が、本当に成果を上げることができるか否かは、従業員価値の高質化がこの問題のもっとも大事な解決策だということに気付くか否かにかかっているといえる。
ファーストリテイリング |
販売担当のパート・アルバイト1,6000人を正社員に |
スターバックスコーヒージャパン |
4月に契約社員800名を正社員に |
西友 |
正社員化の対象を物流センターのパートに拡大 |
三越伊勢丹ホールディングス |
契約社員の正社員登用を拡大 |
イケア・ジャパン |
パート2100人の待遇を正社員並みに |
ミサワ |
接客契約社員200名を正社員に |
セブン・イレブン・ジャパン |
アルバイトの応募者向けコールセンターを本部が設置し加盟店の求人を支援 |
ウエルシアホールディングス |
新卒薬剤師の初年度年間給与を昨春入社から従来比25%増 |
ワタミ |
全体の1割に当たる60店舗を2014年度中に閉鎖し、人員をほかの店舗に振り分け |
スカイラーク |
パート・アルバイトを店長に登用する研修制度を導入 |
ハイディ日高 |
パート・アルバイトに最大10万円超の賞与を年2回支給 |
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