生産工場内の設備はほとんどがサイバネティクスによる自動制御機能を持っている。現状ではエレクトロニクスの時代だけにセンサーやセンサーから得られるデータの解析システムや解析結果から得た情報によって設備を制御するシステムが装備されている。
いまや工場設備は多くのセンサーとメモリーとこれらを制御するコンピューターそのものと言ってもいいくらいだ。
センサーやエレクトロニクス機器で装備されている設備が連続した作業を実現することで工程が構成される。
しかし工程を構成する設備相互群が相互に情報連携しているかとなると、これが意外につながりが悪い。つまり設備はそれぞれが独立して目的とする機能を実現しているだけなのだ。
設備同士が会話をし、情報を交換して設備の集合である工程全体の最適化をめざすことにはなっていない。
この不具合に着目して設備相互の連駅を目指す試みをオムロンが始めたという。
「オムロンはビッグデータを活用して工場の生産効率を高めるサービスを始める。機械や製品ひとつひとつの稼働状況や仕上がり具合など大量のデータを集めて分析し、改善策を提案する。実証実験では既存設備のまま生産量を2割程度増やすめどが立った。企業のビッグデータ利用が、消費者の購買行動分析など販売促進策から生産現場の革新にも広がってきた。
オムロンはプリント基板を実装する草津事業所(滋賀県草津市)で新システムの実証実験を始めた。5月から約20%の増産ができるとみている。
例えば電子部品を基板に実装するラインは部品を供給したり、その部品を吸着して取り付け位置まで運んだりする様々な機器で構成されている。供給機器の動きの悪さや、吸着機の吸い込みの甘さはそれぞれはわずかでも全体の生産性に影響する。稼働データ分析で見逃しがちな不具合を明らかにできれば、ラインの遊び時間を減らせる」。(2014.4.22日経新聞朝刊)
オムロンは設備が稼働時に収集するデータを蓄積し、これを分析することで、工程解析を多角的に行い、工程の不具合を見つけ出し、これに対する改善策を提案するための仕組みを開発した。
この問題意識を稼働中の設備の最適運転に広げる必要がある。
稼働中の設備のデータを解析して、工程を構成する設備群どう動けば工程の全体最適につながるかを瞬時に見極め、各設備に伝えることができれば設備の効率化はその最大化が可能になる。
独立した設備群が互いに会話し、連携することで全体最適を目指す仕組みができれば、日本のモノづくりの圧倒的な高度化につながるに違いない。
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