中国のスマホメーカー北京小米技科(シャオミ)は15年度に1億台のスマホを販売する計画であると表明した。これに関連して小米の林斌・総裁が日経新聞のインタビューに応じその成長戦略を開陳している。
「――小米はネットをフル活用したマーケティングに特徴がある。
『顧客は買った製品が良ければ、友人や親戚に製品の良さを伝えてくれる。つまり口コミだ。交流サイト(SNS)がある今日、口コミの伝わる速さは100万倍にもなった。満足感を(中国独自のミニブログ)微博(ウェイボ)などで広めてもらえるようにしている。製品の大半はネット販売している。中国の小売店は3~4割の利益を求めるが、それを節約し割安に提供できる』
――小米の事業モデルをまねようとする中国企業が増えている。
『我々の事業モデルは4つの要素が組み合わさっており、簡単にまねできない。第1にハード、第2にソフト、第3にネットサービス、第4にネット通信販売だ。
ネットでは顧客の品質要求が特に厳しいため、スマホのサプライチェーン(供給網)のなかで最も優れた部品を使う。シャープやジャパンディスプレイの液晶パネル、ソニーの画像センサーなどだ
ソフトではネットを通じ、スマホに載せた基盤ソフト『MIUI』の改良点や新機能を募る。今ではMIUIの機能の3分の1が利用者の提案に基づくものだ。創業当初、雷CEOや私など7~8人の技術者は『我々は世界を突然変えるアイデアをひらめくような天才ではない』という点で一致した。だから利用者から提案を募っている』
――小米は『自社の事業モデルは米アマゾンに近い』と説明している。
『我々のモデルはアマゾンの電子書店『キンドルストア』に似ている。MIUIの利用者に電子書籍の代わりにサービスを提供する。ネット広告や有料のゲーム配信などだ。利用者は8月時点で7000万人を超えた』
――ネット通販ではどんな商品を売るのか。
『イヤホンや電池など周辺機器も販売し、公式キャラクター『米兎(ミトゥー)』のぬいぐるみは200万体以上売れた。ほぼ原価で販売するスマホより利益率が高い』」。(2014.10.7付朝刊)
鮮明に語られた小米の成長戦略をまとめてみるとこうなる。
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スマホの販売チャネルはネット通販を軸としている。これにより流通経費が大幅に削減できる。
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ネットの口コミを利用することで、マスに働きかける広告宣伝の代替を実現している。個客により近いところで製品とサービスを訴求することが可能になり、同時にここでも販促費が大幅に削減可能だ。
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ネット顧客の厳しい製品品質要求にこたえるために高品質のハードを採用している。原資はネット活用による販売費削減から得ているはずだ。また高品質であるということは不良品対応などの品質コストが大幅に削減できる。
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製品の機能付加や品質改善に顧客の声を積極的に募り、これに真剣に対応している。完ぺきに近い個客満足を実現しつつ、研究開発費の削減を可能にしている
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ネット通販を利用して周辺機器やアクセサリーをも販売品目に加えている。スマホの個客に直接的に様々な商品やサービスを提案するチャネルを拡充し活用しているというわけだ。
以上の実態から小米は徹底的にネットを活用したビジネスモデルを構築し、これに磨きをかけることで低価格高品質の製品とサービスを産み出すに至ったといえる。その神髄はネット活用による個客密着のビジネスモデであった。
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