日銀が追加金融緩和策を実行する。内容は、
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年間60兆円~70兆円としていたマネタリーベースの増加ペースをさらに10兆円~20兆円増やし、70兆円~80兆円にする。結果政府発行の国債はほぼ全額が日銀により購入されることになる。
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長期国債を30兆円追加買入れし、80兆円とする。
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上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の購入額を3倍にする。
30兆円の国債の追加買入れが今回の目玉だ。これは政府による年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用ポートフォリオの見直しと表裏の関係にある。
つまり国債追加買入れ額の30兆円はGPIFの保有する国債の売却額に相当し,結局は日銀がGPIFの保有する国債を買い入れるというスキームに他ならない。
同様の指摘を河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミストがしている。
「日銀の追加金融緩和は、GPIFの資産構成見直しと補正予算による追加財政と一体の政策だ。GPIFが手放す国債や、政府が発行する国債を、事実上日銀が買い進めると言ってよいだろう。
今回、日銀が決定した長期国債の増額規模は、GPIFの国債資産比率の引き下げで手放される30兆円と偶然にも合致する。国の借金を中央銀行が引き受ける『マネタイゼーション』の色彩が強まったといえる」。(日経新聞2,014.11.1朝刊)
30兆円の規模は偶然に一致したのではなく、必然的に一致したものだ。
このスキームによって日銀は30兆円を株式市場に投入するというゆゆしき政策を実行したことになる。
かくして政府日銀は一体となって株価維持ではなく株価押し上げのオペレーションに突き進んだということになる。実需のないところで無理矢理巨額の資金を市場に投入して資産価格を高騰させるのは、まさに株式バブルに他ならない。この株式バブル形成に政府日銀が加担したということに他ならない。
アベノミクスの株価上昇→円安→物価上昇の政策はこうしたなりふり構わぬ強引な施作を実行せざるを得ないところまで追い詰められたといえる。
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