ソニーが15年度~17年度の中期経営計画を発表した。
17年度の財務目標としてROE10%以上、営業利益5,000億円以上が掲げられた。
この目標をどのように実現するかが問われるが、その戦略として次のことが示された。
・事業ポートフォリオの位置づけ
事業を成長分野、安定分野。リスクコントロール分野に分類し、デバイス、ゲーム&ネットワーク、映画および音楽の成長分野にだけに経営資源の投下を集中し、目標達成の圧倒的な牽引力とする
・分社化の推進
全事業分野を分社化し、意思決定スピードを上げ、結果責任と説明責任を追求する
経営資源を成長分野に集中し、事業責任者の経営権限と責任を徹底的に委ねるというだけの内容だ。
ソニーらしさがまるで見えてこない。平井社長は鵜飼の鵜匠よろしく多様な鵜を意のままに泳がすだけで、成果が出なければ鵜の責任を追求して終わりという極めて楽な立ち位置に収まっただけという印象が強い。
次の3年を語る前にこれまでの3年の中計で目指した目標はなぜ実現できなかったのか。その分析の上に今どのようなイノベーションが最も必要とされているのかを素直に示さなければ始まらない。
さらにはトップとして平井社長は事業分野ごとの自立経営を求めるとともに、全事業分野を横断して追求すべき新たな価値創造の方向性を示すことが大事なことだ。
事業分野ごとに自律しながらも異なる事業分野が連携して、ソニーでしかできない価値実現をめざす姿を追求し、その実現を目指して指揮を執ることが求められているはずだ。
こうした企業戦略が語られることがあらゆるステークホルダーから求められている。
かくしてソニーにしかできない戦略を描けていない経営陣に注文を付けられないソニーの取締役会はガバナンス機能を放棄していると考えざるを得ない。
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