2014年度の東証でのプレイヤーごとの投資行動が明らかになった。
2014.4.3付日経新聞によると、以下のとおりだ。
GPIF 3.0兆円買い越し
日銀 1.7兆円買い越し(ETFの購入を通して)
海外 2.5兆円買い越し
事業法人 1.0兆円買い越し(自社株買い)
個人 6.5兆円売り越し
こうした動きに加えて、「国家公務員共済組合連合会などの共済年金もGPIFと同様に国内株式の比率を25%に高める方針で、すでに日本株を買っているもようだ。かんぽ生命保険も株式投資の拡大に動いている。GPIFや日銀の買いにこうした動きを加えると、14年度の公的マネーの買いは5兆円を大きく上回った計算になる」。(同)
公的資金と海外資金が買い越して、14年度の株価は14,800円から、19,200円へと、額にして4,400円、率にして30%の上昇につながった。
GPIFやかんぽ生命や共済組合は保有していた国債を売却し、この売却資金で株式を購入した。ここで売却された国債は緩和策を続けている日銀が購入した。日銀が国債を買いまくっているので国債の価格は上昇局面にあるから、売却したGPIFは保有していた国債の価格上昇による評価益を確定することになったはずだ。
こうしてみると日銀の緩和資金が株式市場に向かって、株高を支える構図が見えてくる。
ところで個人は6.5兆円も売り越し、公的資金が支えた12年末以降の株価上昇による利益を確定する方向に動いた。
個人が獲得した6.5兆円のキャッシュはどこに向かったのだろうか。14年の民間所費支出は純増していないところから、売却資金が一部は消費に向かったではあろうが、消費のけん引役になるまでには至っていない。
とみると個人の株式の売却資金はおそらくは日銀が強力に価格維持している日本国債およびドル高を背景にしてアメリカの公債に向かったはずだ。
GPIFの株式購入原資はまだ10兆円ほど残っているし、かんぽ生命もゆうちょ銀行株式購入に本格参加するし、日銀は国債を購入し続けるので、今後も公的資金による株式購入は強力に進められる。
したがって公的資金の買い越し、個人の売り越しという構図は15年度も継続する。
結局日銀の金融緩和策によって膨張したマネーは設備資金、在庫資金、運転資金などの資金需要に基づく実体経済の拡大には向かわず、株式、公債、そして不動産価格の上昇バブルを確実なものにしたというわけだ。
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