「政府は地方創生の目玉として2016年度に創設する新型交付金制度の概要をまとめた。市町村ごとにつくる活性化策の総合戦略によって交付規模や対象範囲に差をつけ、複数年度で配る。交付後は戦略に盛った数値目標をもとに効果を検証し、事業見直しを求めたり交付を変更したりする」。(日経新聞2015.5.06朝刊)
過去に膨大なバラマキに終始してほとんど効果のなかった地方創生の安倍内閣版の中身が見えてきた。バラマキにならないための配慮は次の2点。
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交付金交付対象の地方自治体の策定する戦略のめざす効果に応じて交付金額の額を決める
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戦略の実現状況を毎年チェックし、実施状況に応じて戦略の見直しを求めたり、交付金の見直しを行う
いずれも企業経営の予算付けでは当たりまえに行われていることだ。今更このPDCAに則って予算付けを行うということ自体が政府の仕事のいい加減さを能弁に物語る。
そしてこの二点は予算執行がマネジメントの手順に則って行われるかを見るという意味で、形式基準で予算配分を行うことになるわけだが、最も大事なことは戦略の質を見極め、戦略の内容に照らして予算配分を決めるということだ。
そして予算配分を対象事業の戦略の内容によって決めるためには、戦略の質を判断する基準を明確に示して、判断主体たる政府の独善によって配分が決まることを防止する手立てをしなければならない。
また戦略の質を判断する目利き力を保持するプロの審判に有為の人材を配してその任にあたってもらわなければならない。
ここまでの配慮をすることができれば、従来の予算編成の改革のモデルを創造することにもつながると言ってよい画期的な仕組みができるに違いない。
しかし本当は地方創生の本丸は政府が保持している強大な権限をどれだけ地方に移すかにあるので、地方がいかに独創的な戦略を立案しても大きな成果にはつながらない。つまりは政府が中央に集中している人とカネを大規模に地方に移してはじめて、地方の再生戦略が真に躍動感のある、そして大きな効果が期待できるものになるに違いない。
まずは政府が自ら地方創生の分権化戦略を示して実行することから始めなければならないのだ。
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