東京証券取引所は上場企業の経営規範を定めた「企業統治指針」(コーポレートガバナンス・コード)の適用を、6月1日から始める。
この企業の統治改革の目玉として社外取締役を二人以上選任することが求められることになった。
統治改革の狙いは企業の持続的成長を着実なものにすることだ。この目的を実現するために社外取締役は着実にミッションを遂行しなければならない。筆者は社外取締役のミッションを次のように考える。
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もともふさわしい人材のCEOへの選任をリードする
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企業の持続的成長をリードするに不適格なCEOの解任をリードする
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企業の持続的な成長を可能にする経営戦略が取締役会にて意思決定されるようリードする
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取締役会において経営戦略の実現状況の監視と実現状況に瑕疵がある場合の是正をリードする
経営戦略の策定はあくまでも経営執行側がその責任において実行することだ。取締役会は社外取締役を中心に、経営執行側が策定した経営戦略の質を評価し、その質に足らざる所があれば、それを指摘しその質の高度化のための助言を行うことが求められる。
社外取締役のミッションはこのように経営戦略に関わることが中心になるが、経営執行の意思としての経営戦略が明確に表現されている企業はそれほど多くはない。
中期経営計画が経営戦略を明示していると考えられるが、中期経営計画に表現される内容は、3年後あるいは5年後の売上高、利益、あるいはROE目標出ることが一般的だ。
求められるのはそうした目標値を、次のような観点からどのように達成するかを明らかにすることだ。
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どのようなイノベーションを実現して新規需要を創出するか
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どのような競争戦略によって競合との差別化をはかり、顧客の持続的拡大を実現するか
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どのようなイノベーションによってコスト削減を実現するか
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どのようンマネジメント・イノベーションによって人材価値の拡充と財務の健全性を拡充するか
このような内容を明確にした経営戦略を経営執行側が策定し、それを取締役会が審議し、より高度なものへ進化させるプロセスが求められるということだ。
となれば取締役会のメンバーは、とりわけ社外取締役は経営戦略について評価し、その過不足を是正するノウハウを持ち合わせることが必要だ。社外取締役にはこのような認識を強く持つことが望まれる。
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