以下のメモは日経新聞21.06.01朝刊の記事に依拠している。
取締役会にバージョン・アップの兆しが現れ始めた。
投資ファンドのエンジン・ナンバーワンは脱炭素社会にふさわしい戦略を再構築することを目的に、米エクソンモービルに社外取締役を送り込むことに成功した。
彼らが送り込んだ取締役は、米コノコフィリップスで長く経験を積んだグレゴリー・ゴフ氏やフィンランドのネステで代替燃料事業にかかわったカイサ・ヒータラ氏など、カーボン・ニュートラル時代に相応しい戦略立案に貢献すると思われるエネルギー業界の専門家だった。
これまで企業統治モデルは次のような進化をしてきた。
ボード1.0 1950年代〜 独立社外取締役が経営陣に助言
ボード2.0 1970年代〜 独立社外取締役が外部の視点で経営をモニタリング
50年を経過して、「2.0」では時代の変化に追いつけず、CEOの孤立と暴走を止められないとの指摘が増えた。リーマン・ショックは象徴的な具体例として語られる。
そしてボード3.0の兆しが今回のエクソンモービルで始まった。
独立社外取締役が戦略立案やビジネスモデルのデザインに関わる企業統治のかたちだ。
提唱者は米コロンビア・ロー・スクールのロナルド・ギルソン教授とジェフリー・ゴードン教授だ。
日本企業の企業統治はまだボード1.0でまだウロウロしている状況だ。
この周回遅れを挽回するには、一気にボード3.0へと踏み出し、経営戦略の策定に向けて知恵を絞れる人材を取締役に招致しなければならない。
業界の専門家であることは必須ではない。外部の業界で戦略経営を実践し、圧倒的な業績を実現してきた経営者であるなら取締役候補者たりうる。
むしろ他業界の経験者の方が優れた提案を頻発できる可能性が高い。
日本企業が長引く低迷期を乗り越え、VUCAの時代に置いて飛躍するには、こうした人材を揃えて真っ当な経営戦略を創出し、その実行を監視する形の企業統治への大転換が唯一の道だ。
2021年9月9日に次の記事が掲載された。
戦略機能の実装に向けて踏み込んだ提案がなされている。
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210909&ng=DGKKZO75567180Y1A900C2TCR000