8月22日の日経新聞に、ウイルスに関する興味深い記事が掲載されていた。
以下はその記事の紹介。
芋虫がハチの寄生から身を守る「蜂殺し遺伝子」の働きが解明された。
突き止めたのは東京農工大学の仲井まどか教授らとスペインやカナダの大学などの国際チーム。
この蜂殺し遺伝子を芋虫にもたらしたのが、
芋虫に感染するウイルスだったことから驚きが広がっている。
あるウイルスが芋虫と寄生バチ同士の争いに介入していたのだ。
発見の端緒は、
このウイルスがいる芋虫にはなぜか寄生バチの卵や幼虫が育たない、
という事実だった。
ところでこのウイルスは芋虫に感染し自らを増殖する。
一方、寄生バチは芋虫に卵を産みつける。
卵からかえった幼虫は芋虫を食べて育ち、やがて巣立っていく。
ゆえにこのウイルスは芋虫を死に追いやるハチと敵対関係にある。
そこでウイルスは、寄生バチを敵とする芋虫に肩入れする戦略を立てた。
ハチの卵や幼虫を死滅させる毒をつくる遺伝子を芋虫に組み込む戦略だ。
感染した芋虫の体液から見つかった毒となるたんぱく質は、
「アポトーシス」と呼ぶ作用で寄生バチの卵や幼虫を死滅させていた。
この毒をつくるのが蜂殺し遺伝子だ。
芋虫とウイルスは双方の利害対立を越えて手を組んだ。
「ウイルスにとって免疫を備えた芋虫は敵だ」。
「芋虫にとって命を奪う寄生バチよりも体調不良で済むウイルスの方がマシだ」。
結果的には、ウイルスは助け舟を出しながら、芋虫を増殖に利用することが可能になった。
ウイルスの戦略はしたたかと言わざるを得ない。
ところで変異を繰り返しながら猛威を奮うCOVID19は、
人類を敵とみなして人類を死滅に追いやろうとしているようにも見える。
とするなら人類はこのウイルスの生存を脅かし、
その反撃を受けているのかもしれない。
つまりウイルスと芋虫と寄生蜂に擬えるなら、
寄生蜂が人類で、その人類が芋虫に相当する何かに危害を加えることで、
ウイルスを窮地に追い込んできたということだ。
そしてウイルスからその反撃を今受けているのではないか?
果たしてそのウイルスを窮地に追い込んだ何かとは?
例えば地球環境の破壊を続ける人類の所業が、
これまでウイルスの増殖の培養地であったある生物を死滅に追いやり、
その結果ウイルスは生存を脅かされており、
ウイルスはその危機を脱するために、
人類に猛威をふるっているのかもしれないのだ。
したたかなるかな、ウイルスの生存戦略。