FRBがテーパリングの開始を方針として掲げた。
これをきっかけにして金融市場の大波乱が起きてもおかしくはない。
日経新聞の11日付けの「オピニオン」でコメンテーターの梶原誠氏が興味深いデータを示している。
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2017年 |
現在 |
株価(前年までの全世界の上昇率) |
44% |
66% |
ジャンク債の発行 |
2083本(06年) |
2543本(21年) |
運用会社の資産 |
44兆ドル(06年) |
103兆ドル(20年) |
主要4中銀の資産 |
3兆ドル(06年末) |
26兆ドル(21年11月) |
話題の金融商品 |
サブプライムローン |
SPAC |
FRB |
06年まで利上げ |
22年から利上げへ |
その後 |
バリバショック リーマンショック |
? |
先進国の大規模な金融緩和策によって生まれた過剰流動性がリスクの大きいジャンク債やSPACへと流れ込んでいる。この風景は15年前と変わらない。
ここには表示されていないが不動産価格の上昇も15年前に相当する状況にあるはずだ。
大きく違う点は中銀の資産が異常な膨張を示している点だ。
資産の中身は国債や民間金融機関への貸付、そしてETFを経由しての株式だ。
日銀以外の先進国の中銀にとって金融緩和の行き過ぎの是正策が今年の課題になっている。
すでにFRBは年4回の利上げの実行を宣言している。
利上げが実行されれば国債をはじめとする債券の価格が下落する。
これが引き金になって、ほとんどの金融資産、不動産の価格崩壊が生じる。
そして金融資産や不動産価格のバブルが崩壊した時に生じる今回の惨状は、
リーマンショックの時の4倍に相当する規模で世界を襲う。
これが常識的な現状理解なのだが、FRBをはじめとする先進国の中銀がこのリスクをまるでないかの如く利上げに向かうのはなぜなのか。
彼らは利上げしてもこうしたバブル崩壊のリスクが生じない、あるいは生じさせない施策を講じることを前提としているのだろうか。
物価上昇の範囲内での金利上昇はリスクを回避できるということなら、その根拠を明確に示すことが望まれる。