キーエンスの業績は相変わらず桁外れに優れている。
2023年3月期の業績数字を確認してみよう。
第1表 キーエンス業績指標 |
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売上高 |
9,224億円 |
売上総利益 |
7,547億円 |
営業利益 |
4,989億円 |
経常利益 |
5,128億円 |
当期純利益 |
3,830億円 |
総資産 |
2兆6,504億円 |
純資産 |
2兆4,916億円 |
第2表 キーエンス業績指標 |
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粗利率 |
81.8% |
営業利益率 |
54.1% |
経常利益率 |
55.6% |
純利益率 |
41.5% |
自己資本比率 |
94.0% |
輝かしい数字ばかりが並ぶ。
この業績の結果は高株価をもたらし、キーエンスの株式時価総額は23年7月24日時点で、国内上場企業の第3位にランキングされて、今やソニーに迫る勢いだ。
第3表 時価総額ランキング |
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時価総額 |
売上高 |
トヨタ自動車 |
37兆4,205億円 |
37兆1,543億円 |
ソニーグループ |
16兆5,391億円 |
11兆5,398億円 |
キーエンス |
16兆1,222億円 |
9,224億円 |
また各社の時価総額と売上高を比較してみよう。
トヨタとソニーの時価総額は売上高にほぼ準ずる規模感である。しかしキーエンスの時価総額は売上高の規模に比較して約16倍の規模に達している。つまりキーエンスンの時価総額は並外れた水準に達しており、それが株主からの評価に繋がっているということができる。
キーエンスの高業績は従業員の給与にも反映されている。
第4表従業員平均年収ランキング |
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M&Aキャピタル・パートナーズ |
3,161万円 |
キーエンス |
2,279万円 |
三菱商事 |
1,939万円 |
ヒューリック |
1,904万円 |
伊藤忠商事 |
1,730万円 |
東京エレクトロン |
1,299万円 |
キーエンスには営業利益の15%相当を業績賞与として従業員に配分するという報酬制度がある。高業績が継続した結果として従業員の平均年収は2,279万円という上場大企業では並外れた高水準に達している。
従業員の報酬が高いとされる三菱商事でさえ平均年収は1,939万円でキーセンスはこれをはるかに超えている。製造業の中で最も年収の高い東京エレクトロンの平均年収は1,229万円であるので、国内製造業の中ではキーエンスの給与水準はとびきり高い水準にあると言える。
このようなキーエンスの高業績がどのような戦略ストーリーによって実現できたのだろうか。次回以降で考えてみたい。