原子力規制委員会は日本原電の敦賀2号炉の再稼働を認めない判断を正式に下した。敦賀原発が活断層の上に位置することが決め手となった。
「規制委は敦賀原発2号機について、原子炉の直下に活断層がある可能性を否定できず、新規制基準に適合しないと結論づけた。11年の東日本大震災後に決めた新規制基準では原子炉の真下に活断層がある場合、原発の稼働が認められない」。
この決定に対し原電は、あくまでも再稼働を目指して再申請する構えを示した。活断層の上に原子炉がある原発の再稼働など、今後とも一切認められることはないと考えるのが常識的な判断だ。つまり一刻も早い廃炉こそが正解なのだ。電源がなぜこのような非常識にこだわるのか理解に苦しむ。
そもそも原電とはどのような存在なのか。
「原電は発電された電力を買う契約を結ぶ大手電力会社5社が経営を支える。原電は稼働中の原発がない。現在は再稼働を前提に電力会社から『基本料金』を毎年受け取り、原発の維持費や人件費などに充てている。金融機関からの借入金も電力会社の債務保証を受ける」。
原電の発電した電気は電力会社5社が全量買取する。しかし東日本大震災以降は、原子炉を休止したため、発電しない電力会社になった。休止中の設備保全のためのコストは他の電力会社が「基本料金」を支払って賄ってきた。
「敦賀原発2号機は、関西電無駄力と中部電力、北陸電力の3社と契約を結んでいる。各社とも毎年100億円程度の基本料金を原電に払っているとみられる」。
さらに「11年から電力5社が原電に支払った基本料金の総額は約1兆4000億円に上る」。この膨大な金額が消費者と産業界が負担する電力料金に上乗せされている。
廃炉となれば716億円の解体費用が必要と試算されている。基本料金8年分でお釣りがくる額だ。可能性のない再稼働のためにムダ金を延々と浪費するより、早急に廃炉の決定をすることが最も経済合理性に則った意思決定になるはずだ。
さらに敦賀2号炉の廃炉だけでなく、今や所持するすべての原子炉が休止状態の原電そのものの存在意義を問い直して、原電の廃業を目指すべきではないか。リスクが大きくしかも発電コストが圧倒的に高い原発を少しでも減らすことにつながる。
何よりも毎年1000億円ほどの電力料金の値下げがこれで可能になる。
日経新聞11月14日朝刊に依拠
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20241114&ng=DGKKZO84769190T11C24A1EP0000